こんばんは!情熱男です。
ビジネスパーソン歴を重ねるにつれ、感じていたことが少し晴れた気がします。
そんな羽生さんの一節を共有します。
ではなぜ基本の形に近いものが記憶に残りやすいのでしょうか。
その理由は、棋士がどうも大きなかたまりを把握することで、駒の配置を単純化して、盤面を記憶しているからだと思います。
実際、プロ同士の普通の局面なら、私は5秒もあれば40枚の駒の配置を記憶できますが、
ランダムに置かれた配置は、なかなか覚えられません。
一度試したことがあるのですが、10回やって10回とも全て記憶できなかったことがあるぐらいです。
ランダムな手というのは、それほど覚えにくいのです。そして、将棋における「美意識」と、
「読み」を効率良く捨てていく作業が結びつくのは、まさにここにあります。
というのは、この基本の形に近い手から外れた、覚えにくい形を見ると、今度は妙な違和感を覚えてくるのです。
皆さんも本を読んでいるとき、文法的には合っているのに、なぜかリズムや書き方が気持ち悪く感じる文章に
出会ったことはないでしょうか。ルール上は間違ってないのに、なぜか非常に指しにくかったり、違和感があったり、
抵抗感がある。「これはうまい手だよな」と思っても、どうしても指すのが嫌な手というのはあるものです。
その一方で、「この手は美しいな」と思える手もあります。
しかも、そういう手は、対局を進めていくなかで、秩序だった筋の良い手であるとわかってくることが多いです。
実のところ、私は、棋士が次に指す手を選ぶ行為は、ほとんど「美意識」を磨く行為とイコールであるとさえ考えています。
筋の良い手に美しさを感じられるかどうかは、将棋の才能を見抜く重要なポイントなのです。
この自らの「美意識」をいかにきめ細かく磨き込んでいくかが、将棋の強さに関わってきます。
(人工知能の核心 羽生善治 より抜粋)
これってビジネスにおいても当てはまります。
マネジメント経験が増していくと、たくさんの選択・決断が瞬時にやってきます。
メンバーの提案のための資料を確認したり、契約書の確認をしたり、様々なことをチェックする必要もでてきます。
こういう選択・確認・決断は大枠間違っていないかをまず確認します。
筋が通っているかという言い方もできるかと思います。
一人立ちできるメンバーと、放っておけないメンバーの差は、この事象への向き合い方が美しいかってことでもあります。
羽生さんのいっている「美意識」ってことは仕事でも言えるってことです。
基本形もしっかりある「美しい筋道」は「美意識」といえると思います。
何かしっくりこない方法を取ろうとするメンバーはこの美意識をまだ理解できていないんですよね。
ビジネスの場合は、「なぜこういう資料になったのか?」という質問への応え方でわかることさえあります。
顧客の課題があり、そこへのソリューションを提案するわけなので、そこに明確な筋道があります。
課題解決方法は様々ですが、そこへの辿り着き方はおおよそオーソドックスなものです。
そこへの違和感などを瞬時に感じるようになると、複数の選択・確認・決断が同時にできるようになってきます。
そういう意味でも羽生さんの「棋士がどうも大きなかたまりを把握することで、駒の配置を単純化して、
盤面を記憶しているからだ」って話は共感できました。ビジネスも同様だと思うのです。
ロジカルな側面もビジネスなんで多いですが、こういうかたまりで判断していくところはアートな感じもありますね。
マーケティング的にも大事な一点を見つけるスキルだったりは、ロジックよりもアートな部分が多いと思います。
基礎をしっかり身につけながら、経験を重ねていき、「美しい筋道」をもっていく。
できるビジネスパーソンを言語化すると、こういう美意識にあると思います。
「美意識」をいかにきめ細かく磨き込んでいくか、、、情熱!!!